僕なりの8耐の魅力
通勤時に車がやたら少ない。
信号で引っかかることもない。
8耐から戻ったら世の中はお盆で夏休みだった。
夏休みの作文がこんな早い時期に書けたことがない、と言うか自由研究ばかりで宿題なんてやった事ない。だが、今年は書けそうだ。
先週末の8耐の余韻が抜けず未だに頭の中には鈴鹿での出来事が浮かんでくる。
チームの誰一人として欠けても増えても違うストーリーになったと、心底思う。
また来年も同じ面子で同じ事をしても不可逆性要因や、必然性、必要性等、全く同じ結果には決してならないだろう。
今年チームに参加させて貰って掴んだこの結果はなんと言ったら良いのか、初めての感覚で形容詞が見つからない、そんな不思議な気持ちに包まれている。
私利私欲、我儘、変なプライドや変な欲、エゴ、そういった雑念も無く必死になる事は凄く難しいのだけれど、そう言った感情は微塵も無く、ただただ皆が必死だった様に思う。
目の前にある事を必死でこなして、考え行動する。
単純なんだけど、実は物凄く難しい。
色々な条件や問題が重なった事もあり、何も考えずやるしかなかった。
チームにいたメンバー全員がそうであったかどうかは分からないけど、一人として文句も言わず、愚痴もこぼさず、ただひたすらに真っ直ぐ自分の任されたポジションを頑張っていた様に思う。
潤沢な資金と人員、時間を使って挑んでくるメーカーや強豪相手に木曜日から合流するメンバーもいる程、人手の足りない、最低最小人数で総合4位(2022/8/11日暫定結果)を勝ち取ったんだ。
だから僕は誰がなんと言おうとラッキーや運なんかじゃない、皆で手繰り寄せた結果なんだと言いたい。
これまで10年以上鈴鹿8耐と言う大会に関わりを持たせて貰って来たけど、今年程チーム力の大切さ、信頼関係の大事さ、バランスの良さを見たレースはなかったと思う。
勿論今まで参加したチームにも良いチームで、結果の残っているレースも幾度となくあるから、それらを否定するつもりは全くないけれど、1つや2つは絶対に何だよ、と思う事項があった。
でも今年はそれらが一切なかった。
と、言うより思ってる暇はなかった。
僕自身、今年は100%メインのサポートに徹すると決めて大会に望んだからなのかも知れない。
きっと今までは自分も何らかのエゴやプライドみたいな物があって、真に真っ直ぐヘルプ出来てなかったのじゃないかと今になって思うし、今までのメンバーには申し訳ないとすら思う。そして信用信頼するメンバーができた時、僕はサポートに徹すると言う事で力を発揮出来るタイプなんだと再認識した。
だからニュートラルにサポートと言う目線でチームを見た時に自分のすべき事は何なのか、できる事は何なのかを考え頑張れたんだと思う。
そう言った目線で見ると、レースをする上で人間関係の構築は本当に大切な要素だと思うし、1回2回で築ける物では無い。ましてや異次元のスピードで命を削って走るライダーからすれば、少しの不安や疑心、すれ違い等があれば自分のポテンシャルの100%以上を目指し、出し切ることは限りなく難しくなってくると思う。メカやスタッフだってお互いに適度な距離感を保ちつつ100%信頼しあえるなんてそうそう出来ない。
そんな環境を作りあげるためにも常にニュートラルな気持ちで真摯に目の前にある課題に取り組みカバーし合うって事がいかに大事か、を知った。
時には口調や語尾がキツくなる場面もあったけど、分かってくれると信じていたからはっきり言えたし、分かってくれていたのが嬉しかった。
実は密かに津田君がヨシムラ在席時代から生形さんとの組み合わせは絶対に面白い化学反応が起きると思い続けていた。実際生形さんにも伝えた事もある。速さの拓也と造りの生形さんの組み合わせ、これが実現し、そこに安定プラスαと言う心強い要素を備えた心君が入った。そして優秀なブレーンとメカニック、素直で真面目な仲間達と、今年は本当に見事なバランスの組み合わせだったと思う。
この数年チームエスパルス生形を見続けて来た事と、拓也との個人的な想いもあって、レース後は感慨深い物がこみ上げ、レース人生で初めてゴール後勝手に涙が溢れた。
素直にやった!と思った。
これまでの人生でチームプレイと言う物がとてつもなく下手くそで、苦手だった。今でもレースフィールド以外では上手く立ち振る舞える自信はない。でも今年のチームを経験したことでチームって何かを少し学べた気がする。
僕は生き方が下手くそなので、人生でそうそう何度もこんな場面や経験なんて味わえないと思う。
人生の中のたった8時間の出来事かもしれない。でもその8時間を乗り切るためには物凄く沢山の “何か” を掻き集める必要がある。
その8時間を乗り切った時に得れる物は日常の8時間では決して得る事は出来ないと思う。
プラスであれ、マイナスであれ、僕はそんな鈴鹿で過ごすこの8時間で得ることが出来る何かに魅力を感じている。
冒頭で言ったチームプレイが苦手なので、経験した事のない形容出来ないこの気持ち。妻に言わせれば胸熱なんだそうだ。。
だとしたら、この歳でこれ程までに熱くなれる何かに関わったり、涙する事が出来るなんて幸せな事なのかもしれない。
チームプレイの何かを味わった今、今年の夏の甲子園は少し違った目線で見れると思う。
毎年伝えているけれど、生形さん、いつも信用して声をかけてくれてありがとうございます。
そして、拓也に心君、二人のライダーと最高な仲間達、皆ありがとうございました!